北朝鮮のエリート大学生が決起した「投書事件」の顛末

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21世紀が目前に迫っているというのに、封建社会で権力維持に使われていた身分制度が残存している北朝鮮の体制は、階級のない社会を目指した共産主義の理想に反する奴隷社会、極悪な搾取社会になってしまったと強く批判した。

出身成分や家庭土台による差別のない真の無階級社会となり、能力のある人が国の発展のために働いてこそ経済の活性化も期待できるとして、「白頭の血統(金氏一族)」への個人崇拝をも否定した。

同時に、権力層が作り出した身分制度のせいで、知能も人格も備わっていない者たちが、祖父や父の七光を利用して幹部に登用されているとして、「それを批判する自由すら奪われた人民の暮らしとは一体何なのか」と批判した。

しかし言うまでもなく、学生らのこうした憂いが、その後の国家運営に生かされることはまったくなかった。それどころか、北朝鮮の体制は、経済の崩壊に向かって突き進んでいく。事件のあった翌年、平壌では第13回世界青年学生祭典が開かれた。