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北朝鮮の「通勤列車」が再開…しかし終点はなぜか「政治犯収容所」

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北朝鮮の鉄道を巡っては、我々がびっくりしてしまうようなエピソードがいくつも伝えられている。最近では、兵役を終えて故郷に帰るところだった若者が、列車の中で餓死してしまうという事件があった。

列車の進み方が遅すぎたために、目的地にたどり着く前に、手元にあった食糧を食べ尽くしてしまったのだ。

(参考記事:東京から岡山まで10日!? 電力難が招く北の「鉄道崩壊」

このほかにも、通勤列車が大爆発に巻き込まれ、一度に3000人が犠牲になったとされる事故についても伝えられている。どうやらこれが、北朝鮮史上、最も多くの死者を出した事故のようだ。

(参考記事:通勤列車が吹き飛び3000人死亡…北朝鮮「大規模爆発」事故の地獄絵図

しかしやはり、北朝鮮の人々にとっては、列車が遅すぎることが何より問題だったようだ。北朝鮮国民は鉄道に見切りをつけ、「ソビ車」と呼ばれる個人経営の乗り合いバスを移動手段とした。しかし最近になり、「オワコン」と思われていた鉄道が復活の兆しを見せている。

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平安南道(ピョンアンナムド)の情報筋が米政府系のラジオ・フリー・アジア(RFA)に語ったところによると、北朝鮮の鉄道の一部区間で、ディーゼル機関車が牽引する列車の運行が始まった。

軍事用のディーゼル機関車を民生用に転換し、トンジュ(金主、新興富裕層)が供給する燃料で運行するというものだが、そのひとつが北朝鮮の物流の拠点、平城(ピョンソン)から順川(スンチョン)を経て無盡台(ムジンデ)までの50.8キロを結ぶ通勤列車だ。

かつては1日2回、ディーゼル機関車ではなく電車が運行されていたが、「苦難の行軍」以降は電力難で運行できなくなったため、地域住民はソビ車を利用していた。

地域の鉄道局は、ソビ車を所有するトンジュが大儲けする様子に刺激され、ディーゼル機関車を利用して列車の運行を再開することにしたのだろう。

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ちなみに、通勤列車の終点の無盡台(ムジンデ)駅のすぐそばには、炭鉱とウラン鉱山に加えて、14号管理所と18号管理所が存在する。「管理所」とは北朝鮮の恐怖政治の象徴である「政治犯収容所」のことだ。

石炭やウラン鉱石を運搬するのに、近くに鉄道駅があれば確かに便利だろう。また、収容者を運ぶ上でも同様である。

しかし、ウラン鉱山も管理所も、北朝鮮では極秘の施設だ。その近くにある鉄道駅で列車の運行が再開されたことには、肯定的な理由と否定的な理由の両方が思い浮かぶ。

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まず肯定的な方は、ウラン鉱山と管理所が閉鎖されることになり、膨大な人員や資材の運搬が必要になるということだ。

とくに管理所は、北朝鮮当局が絶対に外国人の目に触れさせたくない施設だ。米国や韓国との対話進展を受けて、そこで行われていた人道犯罪の証拠隠滅が行われるというのは、十分にあり得ることだ。

(参考記事:「幹部は私の腹にノコギリを当て切り裂いた」脱北女性、衝撃の証言

それに際し、生き残った収容者たちが解放されるか、あるいはもっとマシな施設に移されるなら、それは歓迎すべきことだ。

しかし果たして、北朝鮮当局にそのような「思いやり」があるだろうか。

かつて管理所に警備隊員として勤務し、その恐怖の実態を告発し続けている脱北者・安明哲氏は、「北朝鮮の指導部が必要だと判断したら、証拠隠滅のため、収容者を皆殺しにするだろう。私もそのように教えられた」と語っている。

収容者を皆殺しにするのにも、膨大な資材や人員が必要になる。そんなことだけは、絶対に起きないことを祈りたい。