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北朝鮮の刑務所「教化所」の実態(2)

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北朝鮮の教化所(刑務所)の収監者は深刻な強制労働に苦しめられているうえに、劣悪な食料事情にも苦しめられている。出される食事の量は教化所によって多少のあるが、1級から7級の「トウモロコシ飯」が支給される。農作業をする収監者は3級を支給されるが一日に300グラム程度だ。

炭鉱のようなハードな仕事をすれば2級や1級を食べられるが、一般北朝鮮社会での差別支給の基準と似ている。4〜7級は別名「処罰飯」と呼ばれるが、生活総括で誤りを指摘されたり作業場でミスをした場合に量を減らすことを意味する。独房処罰を受けた収監者の場合、7級を一日100グラム以下しか与えられない。おかずとしては塩を溶かして沸かしたスープが与えられるが、これに少しの白菜を入れる時もある。

以上のように教化所の食料事情は劣悪なため、収監者は面会を通じて栄養不足を自ら解決しなければならない。

家族がいない、または生活状態が厳しくて面会すらない収監者は慢性的な栄養失調に苦しめられることになる。故に収監者は「処罰飯」を非常に恐れ、教化所の管理側はこれを効果的な統治手段としている。

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収監者には、囚人服や毛布、靴、歯磨き粉、歯ブラシ、石鹸などの生活用品は支給されない。物資不足の原因もあるが、囚人服の場合、収監者どうし入所当時に着ていた服を切り裂いて交換し縫って作られたつぎはぎの服を着させ一般の人と囚人を区分するが、これは逃走を防止する管理側の狙いもある。

その他の物資は面会を通じて入手したり、収監者どうしの取り引きを通じてやりくりする。面会などで物資を入手できない収監者に限って靴や毛布のような物品を提供することもある。

監房は40人から60人が生活できるほどのキャパシティだが、施設不足により実際には100人以上の収監者が一緒に過ごさなければならない場合が多い。

狭い場所で寝るため、体の向きを逆にして寝る。つまり横で寝ている収監者の足が顔に向くという形だ。

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人が多すぎるため衛生面でも問題が出る。特に夏には監房内をたまに消毒しなければならない。そうしないと伝染病の発病原因になる。教化所に収監された経験者のほとんどはパラチフスのような疫病が発生して多くの人が亡くなったと証言した。

衣食住だけでなく多くの問題を抱えることから、一般社会よりも医療施設の整備は重要だが実状はまったく違う。教化所にも軍医や衛生員がいるが、普段は軍医が1人しか常駐しない。一般社会で医療系の仕事をしたという経験がある衛生員が収監者をサポートする形で、衛生員は簡単な治療を施す。

しかし、より深刻な問題は、専門医療従事者の不足より医薬品と病院施設が整備されていないことだ。

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教化所内では薬草や面会で薬を求めたりすることで解決しようとするが、慢性的な医薬品不足に苦しめられている。だから、適切な時期に治療が受けられずに死亡率が増加する原因になる。簡単な手術しかできず、作業中に重傷を負った場合、特別な治療が受けられない。

前回のコラム(『北朝鮮の刑務所「教化所」の実態』)でも指摘したが、教化所は自給自足体系による国「的問題点を抱いており、常に人権侵害が起こっている場所だ。1990年代中頃から続いた大規模な脱北者の強制送還により収監者は急増したが、教化所側は北朝鮮当局の支援がなかったので必要な物資を自ら解決しなければならなかった。そのために物資の不足による衣食住体系の悪化は避けられなかった。

それほど規模が大きくない農業生産に比べて、多くの人が収監されたことから死亡率は増加する。さらに、統制手段としての人権侵害が存在する。解決の困難な人権意識の欠如によるものであり、施設従事者の意識で解決できるはずだが−。

人権侵害のなかで最も極端なのは公開処刑だろう。また女性収監者に対する強制堕胎もある。

女性収監者は、入所時に血液検査を通じて妊娠の可否を検査される。万一、妊娠していることがわかれば近隣病院で強制堕胎されて治療期間もなく労働に投入されるなど深刻な人権侵害にあっていると見られている。

拷問と暴力による人権侵害も存在するが、これらは大きく三種類に分けられる。一つ目は収監者が生活規則を破る場合だが、教化所に入ったが慣れずに処罰を受けるケースだ。

二つ目は仮に規則に慣れても食事量が少ないことから穀物や野菜などを盗んだことによる暴力。三つ目は生活総和を通じて批判を受けた収監者が処罰される過程で起こる暴力だ。

生活総括では強制的に収監者同士で批判させるが、これによって収監者は互いの関係が悪化させ、規則を破った時に受ける処罰を通じて普段の生活に恐怖心を植え付けさせる方法として利用していることだ。

生きている時も収監者は多くの苛酷な行為に苦しめられるが、死亡してからも人権を侵害される。

多くの教化所経験者は、死亡者が出てもその事実は家族に知らせず、遺体も家族の元へ送らずに処理していると証言する。理由としては犯罪者は遺体でさえも社会に出られないとのことだが、事実は教化所内での処罰やや劣悪な環境により死亡したという事実が明るみに出ることを恐れているからだと見られる。