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金正男氏一家の脱出を助けた謎の団体、初めて取材に応じる

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北朝鮮の金正恩党委員長の異母兄・金正男(キム・ジョンナム)氏が今年2月にマレーシアで暗殺された直後、息子のキム・ハンソル氏ら遺族が安全な地域に脱出するのを手助けしたとされる謎の団体「千里馬民防衛(チョンリマミンバンウィ)」。米ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)のアラステア・ゲール記者は、この団体の関係者との接触に成功した。

記事によると、千里馬民防衛の関係者は、ハンソル氏ら遺族が、正男氏が殺害された直後に直接コンタクトを取ってきたと語った。それを受けて、ハンソル氏、金正男氏の第2夫人のリ・ヘギョン氏、娘のキム・ソルヒ氏の脱出作戦に乗り出した。

台北で緊張の30時間

まず、同団体は複数の国に彼らの身辺保護を要請した。米国、中国、オランダは移動、ビザ発給を含めた計画の様々な面に協力した。

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同団体は3月、ハンソル氏一家の脱出と関連して声明を発表し、「緊迫した時期に、家族の人道的な避難を支援してくれたオランダ政府、中国政府、米国政府と、ある匿名の政府に感謝の意を表します。また、北朝鮮の体制内で支援してくれる仲間にも感謝の意を表します」としている。

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一方でカナダは、北朝鮮に抑留されていた同国籍のイム・ヒョンス牧師の釈放に影響することを恐れ、協力を拒否したと別の関係者が語った。

また、それ以外の国にも協力を拒否された。いずれの政府もこの件に関するコメントを拒否している。

一家はマカオを発ち、台北の空港に到着。ビザや旅程の確認のため30時間あまりを緊張の中で過ごしたと、この関係者は証言した。

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また、途中で複数の団体による妨害の試みがあったとも証言した。しかし、一家の最終目的地には言及しなかった。

一家の脱出は千里馬民防衛のみならず、複数の団体の協力を得て行われたが、これには北朝鮮国内の関係者も含まれているという。

メディアに口を開くことになった理由についてこの関係者は、将来的に別の脱出者を助けるため、国際社会に支援を要請する必要が生じるからだと説明した。

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北朝鮮で高級幹部を務めた経験のある脱北者はWSJに、同団体は小さいが連携のよく取れたグループで、北朝鮮国民を中国と東南アジアを経て脱北させる活動に携わっていると語った。

また、ヨーロッパの人権活動家は、団体のメンバーは北朝鮮人で、外国政府と良好な関係を築いていると証言し、西側の2人の外交官は、同団体が脱北者救出において信頼を得ていると述べた。これらの人物はいずれも、ハンソル氏一家の脱出に関わったという。