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北朝鮮で「昭和天皇が飲んだ」と伝わる水がバカ売れ

北朝鮮で「水ビジネス」が登場

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市場化の拡大に伴ってピザ屋、タクシー、塾が地方都市にもできつつある北朝鮮。ついには「水」を売る人まで登場した。

平安南道(ピョンアンナムド)のデイリーNK内部情報筋は、北朝鮮の「水ビジネス」事情を次のように伝える。

「数年前までは、『資本主義の国では水もタダではない、恐ろしい』なんて言われていたが、いつの間にか北朝鮮も『水』がタダじゃない国になった」

「商売をやろうにも元手がなかった男性たちが次々と『水ビジネス』に参入している」

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北朝鮮の水道水は、浄化施設の不備と水道管の老朽化で飲用に適さず、庶民は川の水や井戸水を汲んで飲んでいる。

人民班や個人で7〜12メートルの深さまで管を入れて井戸水をポンプで汲み上げるのだ。

しかし、公衆便所の周りなど不衛生な場所に掘られた井戸の水を飲んで腸炎になる人が後を絶たない。

すでに、幹部や外貨稼ぎ会社の従業員、新興富裕層は「水を買って」飲む。

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北朝鮮国内では「シンドク泉水」というブランドのミネラルウォーターが製造されているが「朝鮮綾羅貿易会社」が東南アジアなどに輸出しており、国内には出回らない。

そこで中国からミネラルウォーターを輸入して飲む。

中国製の500ミリリットル入りのミネラルウォーターは新義州(シニジュ)では人民元0.8元(約15円)、平城(ピョンソン)では1元(約19円)で売られている。

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ここにビジネスチャンスを見いだした人々が山奥に入って泉の水を汲んで売りだした。

植民地時代から伝わる「天皇泉」

内部情報筋は「水ビジネス」事情を次のように伝える。

「機転の利く人々が「湧き水」がカネになることに気づきビジネスをはじめた」

「『山奥の泉の水は中国のモノとは比べ物にならない!美味しいよ!』と宣伝して売っている」

「平安南道殷山(ウンサン)郡天聖(チョンソン)里には、日本の植民地時代から「薬水」と呼ばれる泉がある。日本の天皇しか飲めなかったと伝えられている水は、今でも巷では『天皇泉』と呼ばれている」

天聖の水は胃腸病に効果がある水として人気が上昇。中国製のミネラルウォーターを凌ぐ勢いだ。あまりにも人気が高く、泉の前には長蛇の列ができ、待ち時間は10時間にも達するという。

「天聖から平城の市場までは40キロ、順川(スンチョン)の市場まで20キロ」

「水ビジネスの登場と同時に、水を運搬する男性も出てきた。そこで儲けた金を元手に別の商売を始める」

天聖の水は1リットルで600ウォン(約8.4円)。容器が必要ならポリタンクに入れて5リットルで3000ウォン(約42円)。中国製の500ミリリットル入りミネラルウォーターが1300ウォン(約18円)なので4分の1の値段だ。

中国製ミネラルウォーターは金持ちでなければ買えないが、天聖の水ならその日暮らし人々でもなんとか手が出る。庶民の3割ほどがこの水を買っているそうだ。

「水屋は主に男性の商売。自転車に100〜150リットルの水を積んで40キロの道を行き来する」

「この水を一度飲んだら中国製の水なんかもう飲めない。市場はどんどん拡大するだろう」

「庶民たちは、そのうち泉の水が資金が豊富な外貨稼ぎ会社に独り占めされて、「水市場」まで独占するのでは、と心配している」(内部情報筋)