同紙は、李春姫氏がピンク色のチマ・チョゴリを好んで着ることから「ピンクレディ」とし、「北朝鮮放送に『ピンクレディ』が登場すると悪いニュースが伝えられる」と伝えた。報道内容はともかく、彼女のアナウンサーとしての実力たるや他の追随を許さない。口調や抑揚だけではない。他のアナウンサーに比べ、手元の原稿を見る回数も少なく、真っ正面を見ながら長いニュースを一気に読み上げる。映画俳優出身という経歴をもつだけに、報道を伝えるというよりも、演技をしているつもりなのかもしれない。
テレグラフが伝えた引退情報の真偽はともかく、高齢ゆえにいつ画面から去ってもおかしくはないだろう。2012年には、中国メディアのインタビューに応え、「引退して後進の指導にあたりたい」と述べている。また、金正恩時代に入って、北朝鮮のテレビ放送は明らかに変化してきている。アナログ放送からデジタル放送になっただけでなく、アナウンサーの容姿やニュースの伝え方も確実に洗練されてきている。テレグラフの分析もまったく的外れというわけではない。
彼女に代わって登場するアナウンサーがどのようなスタイルで報道を伝えるのかは、金正恩氏の指向を窺い知るうえで重要なことである。
ところで北朝鮮でアナウンサーになるにはどうすればいいのだろうか。