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「馬賊」となり民間人を襲う北朝鮮軍の兵士たち

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北朝鮮では、朝鮮人民軍(北朝鮮軍)の兵士による窃盗、強盗などの犯罪が後を絶たない。

両江道(リャンガンド)のデイリーNK内部情報筋によると、道内の豊山(プンサン)郡で今月初め、第12軍団隷下の43旅団に所属する兵士3人が民家に押し入り、凶器を振り回して金目の物を盗もうとした。

ちょうど通りかかった糾察隊が異常に気づき、保安署(警察署)に通報した。出動した保安員(警察官)に1人は逮捕され、2人は逃走した。

この糾察隊、上からの指示で作られたものではなく、住民がボランティアで行っている。食うに忙しい北朝鮮の人々が自主的に立ち上がらざるをえないほどの状況なのだ。

ブルーベリー採りで厳罰

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43旅団の兵士たちは、取り締まりの手が届きにくい豊山郡、豊西(プンソ)郡、三水(サムス)郡の農村の民家に押し入り、テレビ、バッテリー、自転車、家畜などを強奪する行為を繰り返している。それは「食べ物がない」からだ。

兵士たちは、食料の大部分を国からの配給に頼って生きてきた。ところが、90年代末の大飢饉「苦難の行軍」でシステムは崩壊してしまい、食料の自力調達を余儀なくされた。

畑を耕し作物を作ったり、家畜を飼ったりして、食料確保に努めているが、需要を満たすことはできない。また、まれにある配給も、軍幹部による横流しで、末端の兵士には届かない。

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そのため、国境を越えて中国に入り、レストランで物乞いをしたり、山で木の実や野草を採ったりするなど、涙ぐましい努力をする兵士もいる。昨年7月、人民軍の総政治局は「無断で国境を超えてブルーベリーを採りに行った者は厳罰に処する」との布告を出している。

処罰されず

それでも食料が得られない兵士たちは、自主的に、あるいは上官の命令で、近隣地域や中国で略奪行為を行うのだ。

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強盗未遂事件で逮捕された兵士1人は所属部隊に引き渡され、逃走した2人は所属部隊に自主的に戻った。部隊の幹部は「我々が処罰する」と語っているが、実際はほとんど処罰されない。

保安署はそれを知りつつも、「所属兵士の身柄を引き渡せ」という軍の意向には逆らえないのだ。

金正日氏が提唱した「先軍政治」により、軍の力が強くなったたためだ。金正日氏は軍による民間人からの略奪を厳罰に処するように指示を下したが、その一方で「軍人にきちんとご飯を食べさせなければならない」との指示を下した。

あきらめの声

しかし、定期的な配給を復活させるなどの措置は取っていない。これでは、兵士による犯罪を取り締まりべきなのか、見逃すべきなのかわからない。それは金正恩政権に入ってからも変わらない。

兵士たちは、民家を襲うことで、当局の指示に逆らい、不満を表しているのだと情報筋は述べた。

住民からは「お上はなぜ馬賊になりつつある兵士を止めようとしないのか」と不満の声が上がる一方で、「司法機関も兵士相手ではどうしようもない」と諦めの声も上がっている。