これは、ベトナム戦争に参戦した北朝鮮の将兵が、北朝鮮でどのように扱われたのかを物語っている。趙明禄にとっても、「ベトナム帰り」の経歴は有利に働かなかったのであろう。
ベトナム戦争に参戦した北朝鮮の将兵は、帰国後に歓迎されなかったようだ。そのことは、呉振宇の一生をモデルとした北朝鮮映画『白玉』でも描写されている。米国にはシルベスタ・スタローン主演の『ランボー』をはじめ、ベトナム戦争経験者の苦悩を扱った映画が数多くある。似たような状況が北朝鮮にも存在したとは、まさに皮肉と言うほかない。
「放置」された遺体
映画『白玉』では、戦死者の遺体を回収できなかったことが批判の理由とされているようだが、実際には遺体は回収されているので、本当の理由は別の所にあったはずだ。