DAILY NK JAPAN

韓国でつかまった北朝鮮スパイが「東京多摩地区」で会っていた人物とは!?

人気記事:金正恩氏が反応「過激アンダーウェア」の美女モデル写真

韓国憲法裁判所は2014年12月19日、左派政党・統合進歩党が「従北」であり「民主的基本秩序に反する」として、強制解散させることを決定した。統合進歩党は合法的に結党され、5人もの国会議員を輩出していた。そんな政党が、なぜ強制解散に追い込まれたのか。その背景には日本人にとっても「他人ごと」とは言えない、北朝鮮のスパイ活動がある。

キリスト教会で「戦闘態勢に入れ」

韓国政府は、北朝鮮は今なお朝鮮半島の「武力赤化統一」をねらっていると見ている。そのシナリオはこうだ。

▼38度線付近に配備された朝鮮人民軍の野砲部隊による一斉砲撃に合わせて、特殊部隊や歩兵部隊等の地上兵力が38度線を南進して一挙に首都ソウルを確保する。▼同時に韓国国内では北朝鮮の指令を受けた「地下党」が後方攪乱のために軍や政府機関、インフラを攻撃するとともに、デマ等を流布して民心を混乱させて、韓国軍の南進阻止作戦を妨害する。▼韓国支援に向かう在日米軍の行動を阻止するために、日本でも在日米軍や自衛隊、インフラを攻撃する。

韓国憲法裁判所は統合進歩党が、ここで言われている「地下党」であると認定したわけだ。

さらに同党は、「内乱計画」までも策定していたとされる。

最高裁で内乱事件の上告審裁判が進行中の同党議員・李石基(イ・ソッキ)氏は、起訴状によると、南北の軍事的緊張が高まっていた2013年5月、自身が主導する地下党組織「RO(Revolution Organization)」のメンバー約130人をソウル市内のキリスト教会に集め、「即刻戦闘態勢に入るように準備しなければならない」等と暴動を起こす謀議を行ったという。

人気記事:金正恩氏が反応「過激アンダーウェア」の美女モデル写真

また、李議員は国会議員の立場を利用して、韓国国防部に対して在韓米軍や韓国軍の作戦計画等の資料を要求。とくに極秘資料「韓米共同局地挑発対応計画」については、米韓連合軍の対応、自衛隊や在日米軍との情報共有や共同作戦の有無など、北朝鮮が南進する際に最も必要とする情報を収集したという。

果たして、統合進歩党は北朝鮮のどのような部署から指示を受けて活動していたのだろうか。

韓国版スパイ防止法と言える「国家保安法」違反で逮捕された党員C氏は2010年から翌年にかけて、北朝鮮の工作機関「225局」や朝鮮総連の関係者と接触したことが韓国国家情報院により確認されており、本人も容疑を一部認めている。要するに、彼は統合進歩党の指導機関である225局、そしてその側面支援部隊である朝鮮総連とのクーリエ(秘密伝令)を務めていたのだ。

朝鮮総連「随一の能力を持つ男」

人気記事:金正恩氏が反応「過激アンダーウェア」の美女モデル写真

「225局」は朝鮮労働党の「文化連絡部」を起源とする工作機関で、平時には韓国や日本で地下党をつくって情報収集を行い、有事には地下党を蜂起させて後方攪乱を行うことを任務としていると言われる。昨年10月に死亡した康寛周(カン・グァンジュ/別名・姜周一=カン・ジュイル)が長らく局長を務めた、朝鮮総連の指導機関としても知られる。

225局を一躍有名にしたのは、2011年に摘発され超大型スパイ事件「旺載山(ワンジェサン)事件」だ。

人気記事:金正恩氏が反応「過激アンダーウェア」の美女モデル写真

ソウル中央地検公安1部が作成した「北朝鮮『225局』連携 地下党『旺載山』スパイ事件 中間捜査結果」によれば、1993年に極秘訪朝して金日成(キム・イルソン)主席と接見した金徳龍(キム・トンニョン)氏は、韓国の政界・軍・社会団体等の関係者を抱き込み、地下党「旺載山」を結成。その中の軍人に指示して仁川(インチョン)市内の軍事施設や重要インフラを爆破、放送局を占拠、「市民軍」による市内の制圧を計画・準備していたという。

そして驚くことに金氏は、2005年10月と2009年7月、10年11月の計3回にわたり、「225局」日本地域責任者であり、朝鮮総連の現役幹部でもある男性と東京多摩地区で秘密接触。この男性から「金正日国防委員長が指示した地下党『旺載山』の組織指導方針の伝達を受けた」というのだ。

工作機関「225局」と韓国地下党、そして朝鮮総連。この三者は現在も武力赤化統一を目指して水面下で連携して秘密工作を展開しているのだろうか。

朝鮮総連は綱領で「同胞の権益擁護とチュチェ偉業の継承・完成」を並列させているが、件の男性は総連の中でも「随一の能力を持つ」と評される人物。朝鮮総連は会員の離反が言われて久しいが、時代遅れの「武力統一」にかかわっているヒマがあったら、拉致問題の解決や日朝関係の進展にその「能力」を使うべきなのではないのか。

(取材・文/ジャーナリスト 三城隆)
【連載】対北情報戦の内幕

【人気記事】直撃肉声レポート…北朝鮮「工作員」かく語りき