金正恩と大阪を結ぶ奇しき血脈(2)偶像化に立ちはだかる実母「高ヨンヒ」

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しかし、昨年6月に中朝国境を取材で訪れた筆者が、数人の北朝鮮人に高ヨンヒのことを聞いてみたところ、皆が「元在日朝鮮人帰国者」であることを知っていた。

高ヨンヒが既に2004年に死亡しているにも関わらず、2012年に偶像化をはじめようとした正確な理由は不明だ。あくまでも推測だが、筆者は1952年生まれの彼女が存命だったら、還暦を迎えていたからだと見ている。

「鶴橋オモニム」こと、高ヨンヒの存在を公にできない理由は、元在日朝鮮人という出自だけでなく、彼女の父親の経歴にもあった。ちなみに高ヨンヒの父親は一時期、プロレスラーの高太文と言われていたが、これは誤報だ。では、高ヨンヒの父、そして金正恩の外祖父の高ギョンテクは、どのような人物で、どういった経歴を辿ったのだろうか。

日本の軍需工場で働いた正恩氏の外祖父

高ギョンテクの足跡、そして高ヨンヒの正体を知る大きな手がかりになったのが、北朝鮮が発刊していたグラフ誌「朝鮮画報(1972年12月号)」だ。