検証「日本人拉致問題」を振り返る

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確かに、北朝鮮からわざわざ工作船で日本海近郊まで近づき上陸。そして、日本人を拉致して北朝鮮へ連れて帰るという荒っぽいやり口は、あまりにもリスクが高い。

いくら、北朝鮮がラングーン爆破事件や大韓航空機爆破事件というテロ行為を犯したとしても、「そこまではしないだろう」と見られていた。当時、まだ影響力が強かった左翼陣営を中心に、二つのテロ事件すらも「韓国軍事独裁国家がねつ造した謀略劇」とまことしやかに語られていたのである。

重ね重ね惜しまれることだが、この時期に、辛光洙事件や田口八重子さん拉致疑惑が検証されていたら、かなり早い段階で拉致事件の真相は明らかになっていたと思われる。2002年に帰国した拉致被害者の曽我ひとみさんによれば、辛光洙は横田めぐみさん拉致にも関わっていた疑いもあるのだ。

犯罪捜査において最も重要なのは初動捜査といわれる。拉致疑惑に限って言うのなら、事件発生の段階で大幅に出遅れていたわけである。この出遅れが、今なお拉致疑惑の進展において致命的な打撃となっていると筆者は見る。

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遅遅として進まなかった拉致問題だが、90年代初頭から徐々に動き始める。在日朝鮮人を主体としたNGO団体「救え!北朝鮮の民衆/緊急行動ネットワーク(RENK)」は、先の辛光洙事件に関する韓国の判決文を入手。判決文をもとに独自に調査を開始し、限りなく真実に近いことを突き止める。