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餓死、捨て子、孤立…北朝鮮きっての「金持ち地域」が没落

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地下資源が非常に豊富なことで知られている北朝鮮。朝鮮地理全書によると、北朝鮮の石炭の推定埋蔵量は227億トン。この数字の信憑性は不明だが、世界的に見ても非常に多いことには違いない。

北朝鮮で、炭鉱が集まっているのは首都平壌から北東に70キロ離れた平安南道(ピョンアンナムド)の价川(ケチョン)、徳川(トクチョン)、平安北道(ピョンアンブクト)の球場(クジャン)などだ。

北朝鮮では収入のほとんどを市場で得ている人が大多数だが、この地域の炭鉱労働者は例外的に、勤め先から受け取る給料や配給で生活が成り立っていた。また、その懐を目当てにした市場が繁盛し、ふんだんな石炭を利用した様々な軽工業が発達するなど、かなり豊かな地域と言われてきた。

(参考記事:経済制裁をチャンスに変える…北朝鮮「草の根企業」奮闘記

ところが、昨今の国際社会の制裁が、豊かだった炭鉱地帯をすっかり変えてしまった。石炭の中国への輸出ができなくなったことが、地域経済に深刻な影響を与え、餓死者が出るような状況になっているというのだ。

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デイリーNKは今月1日、私事旅行(親戚訪問)で中国を訪れたこの地域在住の2人とのインタビューを行った。

球場に住むキム・ウチョルさん(男性、仮名)によると、かつて石炭価格は1トン13万北朝鮮ウォン(約1690円)だったが、制裁で輸出ができなくなったことで5万北朝鮮ウォン(約650円)まで下落した。そのため、炭鉱労働者は給料も食糧配給ももらえなくなってしまった。

7〜8割の人が日々の糧にも事欠く有様で、今年4月か5月には50代男性が餓死した。7月になってようやくトウモロコシが配給されたが、乾燥保存して大事に食べたとしても2ヶ月分にも満たない。

「金正恩氏が指導者になってから、食糧が不足することはなかった。今も市場にはコメがあるが、カネがないので買えない」(キムさん)

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ここで語られているとおり、北朝鮮の食糧事情は改善してきている。しかし、国家による配給制度が崩壊した今、食べ物を得るには市場で買うための現金収入が要る。平壌などの大都市部ならば市場でのビジネスチャンスもあるが、地方都市ではなかなか思うようにいかないのだ。

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実際、物があっても売れないため、炭鉱地帯の市場には空き売台(ワゴン)が増えたとのことだ。

价川に住むリ・ソンリムさん(女性、仮名)も、現地の窮状を訴えた。

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「市場に行けばコメは多くあり、カネがあれば買えるのだが、石炭の出荷が止まり給料がもらえないので買えない。特に個人で石炭を掘っていた人の生活は苦しく、トウモロコシ粥にすらありつけない人もいる。操業を行っている職場に勤める人は、トウモロコシの配給を受け取れるが、操業が止まった職場に勤める人は配給がもらえない。食べるものがなく子どもを捨てて逃げる人もいる」

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一方で2人は、現地の電力事情についても語った。北朝鮮を長年苦しめてきた電力難は、中国からの援助で改善の方向に向かいつつあると伝えられている。

(参考記事:北朝鮮の深刻な電力難、中国の支援で緩和か

しかし、价川と球場には電気がほとんど供給されていない状況が続いており、テレビが見られないため、相次いで開かれた南北、米朝、中朝首脳会談を中国に来るまで知らなかったというのだ。

「(球場と平壌の間にある)平城(ピョンソン)でも電気は1日1時間も来ないが、カネのある人は工場や企業所に配電されている分をこっそり回してもらったり、自動車用のバッテリーに充電して使ったりする。さらにカネのある人は、バッテリーで液晶テレビを見ているが、ほとんどの人はテレビすら見られない」(キムさん)

「工場には電気が供給されているが、一般住宅への供給は完全に止まっている。電気を使うにはバッテリーを使うしかないが、工場に知り合いがいなければ充電する術がない」(リさん)

これら地域の経済が好転するには、北朝鮮が非核化を進めて経済制裁が解除されるのを待つほかなさそうだが、果たして金正恩氏には民を窮状から救うべく、さらなる英断を下す気はあるのだろうか。

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