人々が次から次へと餓死してゆく中、女性たちは生き残るため、市場での商売を始めた。しかし、当時は商売そのものが違法行為だったため、取締官にワイロを渡し、黙認してもらう必要があった。
このワイロには「性上納」も含まれている。朝鮮労働党や国営工場、各種の国営企業所の幹部、市場管理人、保安員(警察官)、保衛員(秘密警察)など権限を持ったあらゆる男性が性暴力に加担した。身体接触から始まり、最終的には女性の望まない性行為につながっていった。
(参考記事:北朝鮮女性を苦しめる「マダラス」と呼ばれる性上納行為)HRWのインタビューに応じた40代女性のオ・ジョンヒさんは、両江道(リャンガンド)恵山(ヘサン)の市場で衣類を売っていたが、2014年に脱北するまでは取締官から繰り返し性上納を強いられていた。